



世界の名だたる廃墟を一望する、本邦初の網羅的写真集。
まえがきより
……こうした時代背景のもとで生まれた本書には、世界の名だたる廃墟が収められている。廃墟が生じた理由はさまざまだが、大きく4つの種類に大別してみたい。
1つめは戦災による廃墟。20世紀に起きた2つの世界大戦は言うまでもなく、その後に起きた冷戦構造もまた、米ソの核競争を引き起こし、世界各地に奇妙な建造物を生んだ。
そして2つめはエネルギーと産業を巡る廃墟。産業革命以降、本格化した埋蔵資源の採掘や、それを利用する発電施設は、人類が必要とするエネルギーの増大に比例するように、巨大な廃墟を生みだした。
そして3つめは都市と経済を巡る廃墟。高度に情報化し、グローバル化された金融システムのもとでは、もはや世界から孤立した楽園が存在することはできない。あらゆる金の流れがあらゆる街に影響し、昨日まで栄えていた街が、一夜にして荒廃することすら、現代においてはありえない話ではないのだ。そして最後は、自然災害による廃墟。人類はいつの時代も自然の猛威から逃れることはできない。あらゆる人災を避けようとも最後は気まぐれな天意の前に、諸行無常の鐘の音を聞くのだ。